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ヨネックスオープンジャパン2005
最強の猛者たちが力を出し切った
(2005.04.23)
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ヨネックスオープンジャパン2005は、4月5日〜10日、代々木競技場
第2体育館で開催。3種目で世界1位がタイトルを手にし、小椋/潮田ペアが3位入賞など日本選手も活躍。観客大興奮の大会でした。 |
国際バドミントン連盟(IBF)5星大会、『ヨネックスオープンジャパン
バドミントン選手権大会 2005』(YONEX OPEN JAPAN 2005 BADMINTON
CHAMPIONSHIPS 賞金総額:US$ 180,000)は、4月5日(火)〜10日(日)、東京の 代々木競技場 第2体育館 で開催されました。
5月10日(火)〜15日(日)、中国の北京で予定されている 世界国別対抗バドミントン選手権(スディルマンカップ)直前のグランプリ大会であり、8月にロサンゼルスで開催される
世界選手権
への出場決定まで1ヵ月となるこの時期、国の代表の座を目指し、あるいは、ランキングポイント獲得を狙い、世界20ヶ国あるいは地域から多くの選手がエントリー。大変、レベルの高い大会となりました。
(世界ランキング WR は 2005.3.24 付け。)
男子シングルス
優勝は、昨年2月から世界ランキング1位を続ける第1シードのサウスポー、中国の リン・ダン
選手。気温の高くなった会場で行われた決勝戦は、同国の チェン・ホン
選手(WR3位 全英オープン2005優勝)がインフルエンザで途中棄権。王者の喜びも遠慮がちでしたが、表彰台では チェン選手も両手を上げ、満足そうに見えました。
準決勝では、第4シード、デンマークの静かな大男、ケネス・ヨナセン
選手(WR4位)が第1ゲーム、12-8 とリード。転んでも起きあがり、スピードで攻めたリン選手が追い上げ、14-14 で硬直化。集中し、我慢で攻め、
17-14。第2ゲームは、やはり 8-3 とリードした ヨナセン 選手でしたが、ラリーの最後で粘り負けて追いつかれ、10-10 から好ラリーでヘアピンが優ったリン選手が
15-10 と試合を決めました。
他に準決勝に進出したのは、アテネ五輪王者の タウフィック・ヒダヤット
選手(WR8位 インドネシア)。ケガの回復半ばの出場でありながら、準々決勝では ピーター・ゲード 選手(WR2位 デンマーク)をファイナル、好試合(1時間35分)で破り、その疲労から腕に力が入らなくなり、チェン・ホン
選手と良い試合ができなかったとのことです。
日本選手は、1ヵ月前の全英オープン2005 でベスト8入りを果たして期待された 佐藤翔治
選手(WR18位 第16シード)が、マレーシアの リー・ツェンセン
選手(WR62位)に いきなり初戦で敗れるショック。ベスト32に進んだのは、佐々木
翔 選手(WR53位)と 松本徹
選手(WR58位)でした。
女子シングルス
優勝は、第1シード、アテネ五輪女王の チャン・ニン
選手(WR1位 )。昨年10月からワールドグランプリ6大会負けなしの シェー・
シンファン 選手(WR2位 第2シード)を倒し、表彰台の上で ふたり、美しく微笑みました。
決勝は、3年ぶりの中国対決で、どちらが勝っても初優勝。長身でワンピースが似合うふたりは、チャン選手が29才、シェー選手が24才。序盤から辛そうな様子の見えるチャン選手に対して、クールなシェー選手。
第1ゲームは、4-4、7-7 と競り合いをチャン選手が抜けて、11-7。第2ゲームは、高度なラリーに観客も息をのむこと、しきり。4-1 とリードながら、息が上がって要求したチャン選手の汗ふきは、主審が拒否。死闘はもつれます。8-4
からアウトが続いて チャン選手が得点できず、じわじわと 8-7。シェー選手がネットへかけるミスが響いて 11-8 と試合が決まりました。
準決勝には、第3シードの ピ・ホンヤン
選手(WR3位 フランス)と第4シードの ワン・チェン
選手(WR5位 香港)が進み、シード順の勝ち上がりです。
右ヒザにサポーターをしたピ選手は、小柄ながらよく打ち、ショットが読みにくい特徴のあるフォーム。見応えがある試合でしたが、シェー選手に余裕が感じられ、1枚上手に見えました。
以前よりスリムになった印象のワン選手。優勝したチャン選手をファイナル、セティングと追いつめながら、代々木の気まぐれな風がシャトルを押し戻す
など、重なる不運が彼女の決勝進出を拒んだようです。
日本選手は、この ワン選手にマッチポイントを得ながら、セティングを勝利へつなげられず、ファイナルで敗れた
米倉加奈子選手(WR13位)が本当に惜しくもベスト8。初戦では、アテネ五輪銅メダルの
ツォウ・ミー
選手(WR6位 中国)を初めて倒す 快挙をなしています。これに自信を持ってほしいです。
廣瀬栄理子
選手(WR19位)がベスト16。 韓国オープン2005に続き、ピ
選手に対してファイナルに持ち込み「今や同じレベル」と答える頼もしさです。
ベスト8に中国選手が5名。米倉選手以外、全て中国系選手という、すごいことになっています。日本女子、みんな、がんばれ〜
男子ダブルス
スピードと技の芸術的なバドミントンが魅力のこの種目は、最先端のプレーを持つ強豪が勝ち上がりました。
優勝は、デンマークのベテラン、第1シードの エリクセン/ルンドガード
ハンセン ペア(WR1位)。前日、花粉症?で棄権した第3シード、中国 フ/カイ
ペア(WR3位 全英オープン2005優勝)との準決勝戦を回避できたことの効果が、特に混合ダブルスでも決勝進出したエリクセン選手にとって、大きかったと思われます。
この大会2001年優勝の チャンドラ/シギット
ペア(WR7位 インドネシア)は、ここまでに3連続ファイナルを戦い、疲れのためか、特にシギット選手に らしくないミスの目立つ決勝試合でした。エリクセン/ルンドガード
ハンセン ペアは、我慢し、相手のミスが出るまで ねばり強く戦い、韓国オープン2005に続いて彼らを倒しました。
ベスト4に残ったのは、ほかに、第4シードの ポースク/ラスムセン
ペア(WR4位 デンマーク)です。
日本ペアは、全て1回戦敗退。舛田圭太/大束忠司ペア(WR14位)は、上記、ポースク/ラスムセン
ペアに 15-11 11-15 12-15 と健闘し、あと少しというところで敗れています。
女子ダブルス
第3シードまでは、予想通りの勝ち上がりをみせたこの種目、優勝は、中国の ヤン・ウェイ/チャン・ジェウェン
ペア(WR1位 アテネ五輪金メダル)。この大会3年連続決勝進出の ウェイ・イーリー/チャオ・ティンティン
ペア(WR2位)に序盤、3-11 とリードを許したものの、そこから覚醒。13-11 とひっくり返して、長いラリーを辛抱して攻める相手のミスを待って
15-12。
第2ゲームは、長いラリーの応酬に疲れの見えるなか、ペアの動きを修正しながら冷静に相手をしとめるヤン/チャン ペア。15-2 で試合を決めました。
この大会、2001年と2003年の優勝ペアで第3シードの ガオ・リン/ファン・スイ
ペア(WR3位 アテネ五輪銀メダリスト 全英オープン5連覇!)とともにベスト4に入ったのは、我らが 小椋久美子/潮田玲子
ペア(WR32位)。
初戦で 第6シードの ウォン/チン ペア(WR6位 マレーシア)を破ると、インドネシアオープン2004ベスト8の英国ペアにファイナル勝利。第4シードのトゥントーンカム/チャンクラチャンウォン
ペア(WR4位)を倒してベスト8入りした 前田美順/末綱聡子
ペア(WR44位)と準々決勝で激突して勝ち上がりました。
ウェイ/チャオ ペアとの準決勝は、満員の会場の応援が逆にプレッシャーになったのか、気合いが空回りしたのか、特に第1ゲームは、硬さが見られました。
5-2 とリードした後、ロブのコントロールに苦しむなどし、一気に 5-9 とされます。熱気に対応したエアコンの風の影響も大きかったのかもしれません。粘って、いいラリーもありながらも、焦ったように第1ゲームを落としました。
第2ゲームは、1-7 とリードされた後、開き直れたのか、相手を振って上手くミスを誘い、連続得点で 8-7 と逆転。ロブがアウトのコールに会場が「え〜」という反応を示したところから、気持がゆるんだのか、流れが相手に移って
8-12 と、またまた不利に。ここからサーブ権が行き来し、よく我慢して攻めたラリーを機に潮田選手が持ち味を発揮。ふたりで攻めきり、13-13
と追いつきました。最後は、修羅場の経験の差か、夢の決勝進出はなりませんでした。
中国コーチの注視の中、善戦したふたり。経験を積んで、次は、アップセットが狙えそうです。
日本ペアは、他に、赤尾亜希/松田友美
ペア(WR34位)が2回戦に進み、優勝したヤン/チャン ペアに敗れています。
混合ダブルス
今大会の準決勝、決勝と観戦したなかで、私が一番おもしろく思ったのが、この種目でした。
優勝は、第4シード、タイの プラパカモル/トゥントーンカム
ペア(WR4位)。タフに熱く打ち抜くプラパカモル 選手と冷静で高テクニックのトゥントーンカム選手が、デンマークの エリクセン/ショルダガー
ペア(WR2位 アテネ五輪銅メダル)と素晴らしい熱戦を繰り広げました。
第1ゲーム、8-4 とリードしたタイペア、じわじわと追いつかれて 11-11。お互い気合いでせめぎ合い、女子も打つ打つ、14-11 から 14-13、そして15-13。第2ゲームは、ショルダガー選手が良さを発揮。エリクセン選手も必死で叫び、10-7
と先行。プラパカモル選手の緩急をつけた攻撃で 10-10。攻めて攻めてマッチポイントを握ったタイペアに、こちらも引かずに攻めたデンマークペアがセティングをものにし、ファイナルに持ち込む。
最終ゲームは、序盤から好ラリーの応酬。3-3。タイペアがうまく相手を崩すのに感動。6-6。きめ細かなラリー、バックへのロブ攻め、ヘアピン勝負が効いて、タイペアが
11-6。最後まで冷静に、強気にスピードをコントロールして 15-7。手を合わせて拝むように挨拶するふたりが好印象でした。
ベスト4には、ともに中国の チェン/チャオ
ペア(WR3位 デンマークオープン2004優勝)と、シェ/ツァン
ペア(WR25位)が入りました。
日本から予選を突破して出場したペアは、本戦初戦で敗退。舛田圭太/前田美順ペアは、第7シードのデンマーク、モゲンセン/オルセンペア(WR16位)にファイナルまで戦いましたが敗れました。
年々、立ち見の出るにぎわいに運営が少しずつ馴染んできたヨネックスオープンジャパン。このところ海外大会での評価を上げている日本代表選手の勇姿を見ようという多くの観客も集まり、会場は大いに盛り上がりました。予選には、たくさんの日本選手がチャレンジ。本戦に出場かなった選手は特に、経験値が上がる良い機会でしたね。
ただ、相変わらずのまぶしすぎるライトと空調の強風は、国際バドミントン連盟のサイトでも最後まで批判されてしまいました。
記念グッズを売るブースは大混雑で、せっかく訪れたジュニアの観客には,きつかったのではないでしょうか。あれでは、きちんとした接客は望めません。老若男女とも、スマートに買い物ができる工夫をして、最後まで
うれしい思い出を握りしめて帰れるようになってほしいです。
【関連リンク・参考文献】
*日本バドミントン協会による
ヨネックスオープンジャパン2005
バドミントン選手権大会 の大会サイト
*World
Badminton Online (英語)
*ヨネックス www.yonex.co.jp
ヨネックスオープンジャパン2005
「岩田良子のヨネックスオープンジャパンレポート」
*日本バドミントン協会
ヨネックスオープンジャパン2005
バドミントン選手権大会記者発表
のサイト
*三洋電機バドミントンチームのホームページ
「ヨネックスオープンジャパン2005
女子ダブルスで小椋久美子/潮田玲子組が3位入賞!」
*日本ユニシス実業団バドミントン部のホームページ
ヨネックスオープンジャパン2005
*NTT北海道バドミントン部のホームページ
「YONAX JAPAN OPEN’2005
中・岩松組、予選突破も本選1回戦惜敗!世界を実感」
*カレント・バドミントン
カレント・レポート
ヨネックスオープンジャパン2005を観戦しよう!
2005年春、代々木の栄冠は誰に?
*カレント・バドミントン
『海外選手を知る、応援する』
*カレント・バドミントン
『国内選手を知る、応援する』
*バドミントン・マガジン2005年4月号
p.35 「新しい時代の幕開け」
ヨネックスオープンジャパン 2005
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